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京都人の年末年始 いよいよ大晦日







「こんにちは~。」
格子戸をカラカラと開け、薄暗い玄関の暖簾をめくると、台所にいた祖母がにこにこしながら、
「へえへえ、よう来とくれやしたなあ。」 とエプロン姿でゆっくりと歩いてきます。
私たちも早速エプロンをまとい、おせちを作るため、台所へと向かいます。愛犬も一緒。 
私の祖母の家は歴史が深く、母屋の隣に江戸時代から代々営業している店と工場があります。 
昔のどのアルバムを見ても、人は変わっているのに、家は殆ど変わっていないのがすごいところ。


のれんのそばには、色んなお寺のお札が下がっています。

お店に入ってすぐの所にある帳場。今はゲストルームのような存在です。
営業終了後は、住み込みさん(書生みたいな住み込みの社員)が、
TVを見ながらく寛いだりしています。

見た目が古めかしい古時計は、SEIKO製。 
私の小さい頃からあるところを見ると、まだまだ壊れそうにもないです。

近年、従兄弟に赤ちゃんが生まれました その赤ちゃんが、食べ初めの時に着物の下に着ていたというもの。
なんだか可愛いので撮ってしまいました。

昔はおくどさん(かまど)があって、薪をくべる小さな窓がついていた台ドコ(台所)は、
何年か前に改装されてリビングキッチンになっています。今思えばとても残念な事ですが、
天井を見上げると大きな木の梁は昔の姿のまま。綺麗なキッチンができた今でも、
汚れてしまうのが勿体無いらしく、祖母は離れにある別のステンレスの台所で専ら料理をしているようです。

鏡餅の準備は祖母の役目

前もって朝からうすと杵でつかれた餅を、お粉を付けた手で丸めて、大きな木の箱に並べていきます。
 
この餅は後で、鏡餅(玄関には大きなものを。私たちの各部屋にはミニ鏡餅を置きます)になったり、
焼いて食べたり、お雑煮に入れたりします。 
お鏡さんは、祖母宅とお店、工場、私の家など各所の床の間や神棚等にお供えするので、
かなりの数になり ます。

座敷にちょこんと正座した祖母が、そこら中に置かれた三方に餅と、シダ(裏白)、
干し柿、だいだいを乗せていきます。
ミニ鏡餅の方は、小さくて同じ大きさの丸もちが重ねてあるので、転がさないように持ち運ぶのは至難の業。  

ネギは祖母の家の畑から

 かしわを切り終わる頃、祖母が裏からねぎをどっさり運んで来て、机の上にばさりと置きます。
その数ざっと3~5わ。親戚やその仕事仲間の分など、大量に作るので、これを刻んでいくとざるに山盛り3つにも。
そのため年明けしばらくは手からネギの匂いがとれません。

3種類の麺を楽しむ

「京都の年越しそば」と言えば「にしんそば」なのですが、何故か祖母宅ではこれ。
 
10羽分の鶏のアラと、野菜くずでだしを取り、醤油と砂糖で味付けします。これがうまい!
鍋いっぱいに出来た、黒くて甘いおだし。ことことといい音を立てています。いいにおい。
「おそば出来たえ~。」 とみんなを呼び、ここからはセルフサービス。
箱にずらりと勢揃いした黄いそば、黒そば、うどんの玉をラーメン屋のようなざるに入れて、
ぐらぐらと沸いたお湯でゆがきます。

固さは自分のお好みで、どんぶりにつるりと流し入れ、熱いだしを注ぎ、かしわを4,5個上に転がせたら
最後に多めのねぎで彩りを添えます。 湯気にフーフーする人もいれば、テレビの紅白歌合戦に釘付けの人、
早くも2杯目を求めてどんぶりを持って出て行く人。みな3杯はペロリと平らげてしまいます。

大晦日の夜の街を走る

 実は、八坂さん(八坂神社)のをけら詣りには行ったことがありません。毎年祖母の家まで出掛けているからです。
また、私のお茶の先生宅では除夜釜と言って、仲間内で酒饅頭を食べながらお薄を飲んだりして楽しんでいます。
年越しそばを食べ終わり後片付けを済ませたら、出来上がったおせちをお重やタッパウェアに詰めて車に乗り込みます。
暮れゆく年を惜しむように夜の京都の街並みを、走る車の窓から眺めていると、深夜から初詣に向かう人々がぽつり、ぽつり。
底冷えする寒さに少し肩をすくめ背をまるくして歩いていくおじいさんの姿を見ると、何故かとても平和な気持ちになってきます。

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