「創業百年」というと確かにすごい響きがあるが、
そんな明治半ば 以降の老舗などは京都以外の都市でもすぐに見つけられる。
江戸時代創業の店も少なくない。
京都は違う。
戦国時代等、江戸時代以前来で「創業200年」を軽く越えてしまう「超老舗」とも呼べる店が
「その辺」に存在している。
何代もの様々な主人の元で、あらゆる不況や天災や事故、他の店の巧みな商売戦略による影響等のふるいの中、
こだわりが強すぎたり、代が変わって質 が落ちたり、欲に走り過ぎたり、時代の波に乗り遅れたりして
消えていった店もたくさんあった事だろう。
よそには無い、独自の持ち味を生かしつつ新しい方 向を捻出しながら生き残った店が京都にはある。
それだけでも多いに価値があることだ。長い歴史があるからこそ、京都の人は何世代にも渡り
「どこそこの何々やで」と老舗の包装紙に包まれた手土産を渡し、
貰った方も「いや〜嬉し」と喜ぶのだ。
「創業ン年の老舗」とは言っても、人それぞれ好みが違う。
様々な店の色々な品を、サービスを、値段や質を試して、看板だけにこだわらない「自分の店」を選ぶ
事も必要だ。自分だけのひいきの店を見つけようとしても、京都在住以外の人にとっては
そう簡単に選べ ないだろう。そこで老舗と付き合っていく方法を簡潔に述べよう。
現地人に聞くのが一番
事前にガイドブックで下調べをしておくのは当たり前。
情報誌が無数にあるが故に「知名度だけで味は イマイチ」という店も多く載っている場合もありうる。
なぜなら宣伝だけ上手い店もあるかもしれないからだ。できれば現 地人に案内してもらうのがベスト。
移動所要時間も行きつけの店もよく知っているから無駄な動きが少なくなる。京都のタクシーの運転手は、
寺社の説明も得意な人が多い。
宿の女将さんに聞くのも良いが、評判はさておき親しい店を紹介する場合もあるらしい。
事前に予約
京都の老舗は時として無看板で分かり辛かったり、商品が並べてなかったり、一見さんをお断りしたりと
「別にここで買うてくれんでもいいんよ。」の様な態度に思えることもある。
特に家族経営とか、小人数の職人で品物を作る古い店は商品の数が限られてくるし、生もの等食品においては
質を落とさないために予約分と少ししか作れないため、事前に電話で曜日と時間、個数を伝えておいたほうがよい。
「せっかくここまで来たのに売ってもくれない。高慢な店だ」という勘違いもおこさなくてすむ。
きちんと予約すれば、丁寧に作られた、とっておきの品ができたてほやほ やで用意してもらえたりするのだ。
馴染みになろう
気に入った店へ何度も足を運び、馴染みの客となれば「自分の店」の出来上がり。
でもいくら店の主人と仲良くなったからといって、作業中に長々と 話し込んだり忙しい最中に説明を
あれやこれやと請うのは良くない。客としての節度をわきまえることも大切だ。
「老舗」というとどうも「お堅い」イメージがあるようだが、その「お堅さ」ゆえに何百年も生き残ってこれたのだ。
そしてまた「商品は絶対に良質であるに違いない」という偏見も捨てるべきだ。 人それぞれ嗜好は違うはず。
京都を訪れる人、ま た京都に住む人も、自分の体で「自分の店」を見つけていって欲しいと思う。