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【第6回 ちょっと負けてみる】

市田ひろみさんの

第6回 ちょっと負けてみる

京都人は下手にでることにかけては天下一品。相手を傷つけずに自分の望む方向に
落とし込みます。
たとえ失敗しても、これなら臨機応変な身のこなしがきくからです。
巷では京都人ははっきりと物を言わない、だからなにを考えているのかわからないなどと
いわれます。たしかに京都の人は、はっきりと白黒をつけるようなものの言い方はいたしません。
相手に恥をかかせず、しかし主張はしっかりする。


そうなんです、特に京都の人はよく遠まわしの表現をします。だから人によっては
とてもおしとやかに聞こえたり、逆にイヤミにも聞こえてしまったりします。京都人による
ある物事に対しての批評などは、たとえ良くないと思っている事でも角が立たないように
言う事ができます。あるいは何らかの苦情を京都の人から言われる場合、笑顔で凄い皮肉を
言われているような怖ーい気分にもなってしまいます。ですから誤解を招かないよう、
上手く「負けて」みないとかえって相手に不信がられてしまいます。


主張はタイミングと言い回しが勝負です。そのとき大切なポイントがあります。
負けたふりをちょっとだけしてみましょう。
たとえば「かんにんどっせ」「気悪うせんといてくれやっしゃ」などといいそえることです。
大切なのは相手の自尊心を傷つけないことです。自尊心の取扱というのは誰にとっても
やっかいなものです。計算もなしに面目をつぶすとこじれにこじれます。
「ちょっと負ける」のは、こうした泥沼をさける知恵です。




市田ひろみ著「京の底力」 ネスコ文芸春秋より
 

京都人同士でも、「そういう遠まわしな言い方いややわ。」と言う方もおられます。
話をする側もされる側も、意見を上手に表現し、また受け取る事が大切な んですね!

まとめ:e京都ねっと 小山


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