最近の京都は朝夜は涼しくなったものの、昼間は汗ばむほどに暑いという日が続いている。
ジャケットを羽織る人もいれば、Tシャツ姿の人もいるし、 ブーツをこつこつ鳴らせて歩く女性の隣を
ミュールやサンダルを履いた女の子が元気に通り過ぎていく光景が見られるのもうなずける。
デパートでは栗、栗、栗づくしだ。
栗の和菓子に栗のパン、モンブランなどが顔をだす。コンビニでも渋皮を既にむいた状態の
栗のパックが並べられている。まさにコンビニエンスの時代だ。
「栗の味ってさつまいもに似てるなあ」などとのんびり考えながらお茶の稽古に行く。
懐紙の上にもやはり「栗の子」が乗っている。この和菓子はよそでも見たことはあるが、
まだそんなに食べたことはない。この栗の子は鍵甚良房という店のもの。黒文字でほっくりと切る。
中に栗の粒々がたくさん入っているのが分かる。
それを舌の上にころりと乗せる。
「おいしィ〜。」
余りにも私が騒ぐので、お茶の先生が余りをお土産にしてくれた。
ラッキー。
翌日には母が早くも鍵甚に電話予約を入れていた。
今晩は家族で外食となった。母の持つは「鳥よし」のチラシ。古すぎず、新しすぎずのいい感じの
和風の店構えで、入り口から近い方が座敷、暖簾の奥がカウンター席になっているようだ。
私たちは座敷の方に座って、家族水入らずの晩御飯を食べる。ささ みの造りや唐揚げ、
海鮮サラダや串焼き等のほか、鳥なべも勿論オーダー。
会席も値段別にいろいろ、和洋風盛合わせの料理もあるようだ。鍋を見てびっくり。チラシの記述通り、
真っ白のスープだ。驚きの白さ。しかも鳥がらだけで作っているという。上品な物腰で、女将さんらしき人が
それぞれの湯呑み にそのスープを注いで出してくれる。きっとこの店の自慢なのだろう。
「おいしィ〜。」
添えられた山椒や塩を入れなくても十分においしい。こういうのが大好きな私は何度もおかわりをし、
家族全員で鍋を汁ごと空っぽにしてしまった。それ でも更に雑炊を注文する我が家。
当然、あのスープがベースだ。出される器もなかなか私好み。渋いが安っぽさは無い。ここでかつてドラマの
撮影が あったらしく、中野浩一が食事をしているシーンの写真が出口に飾ってあった。これから寒くなるに従って
こういう鍋ものが恋しくなってくるんだろうな。 そう考えるとまた来たくなった。
ここのスープで体をあたために。