京都駅前から市バス9号系統で約35分。上賀茂御薗橋バス停からスタート。
賀茂川にかかる御薗橋を渡ると葵祭の終点として有名な上賀茂神社にたどり着く。
新緑の眩しい境内は清浄な雰囲気に満ちている。
境内の一角に『徒然草』に業平を祀ると記されている岩本社がある。・・・とはいえ、
境内は広く、小社も多いので、なかなか見つからない。
神社の方に尋ねてみると、御手洗川を渡ってかなり奥、
昼なお暗い木立に囲まれた岩の上に岩本社はひっそりと鎮座していた。
説明板を読むと祭神は花筒男神、中筒男神、表筒男神の三柱。
海上安全守護の神だそうだ。はて?業平とどう関連があるのだろう?
境内を巡っていると神馬堂の近く(御手洗川の裏)に橋本社という小社があって、
こちらは和歌の神様で、業平と関係がありそうだ。
家に帰って『徒然草』第67段を読んでみると、
吉田兼好の生きた鎌倉末期から業平を祀る岩本社と藤原実方(平安時代の歌人)を祀る
橋本社が混同されがちだったそうだ。
月をめで 花をながめし いにしえの やさしき人は ここに在原
慈円和尚も上賀茂の岩本社の前でこのような歌を詠んでいる。
「やさしき人」という言葉が女は勿論、惟高親王ら男の親友にも優しかった、
業平を端的に言い表しているような気がする。
いつの時代にも、風流人・業平は憧れの的だったのだろう。
住所:北区上賀茂本山
境内自由