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京の酒どころ・番外編

阪急嵐山線の終点より1つ手前の「松尾」駅に降り、歩き出すとすぐに、
大鳥居と巨大な御神酒のモニュメントが見えてきます。
そう、ここは酒造りの神を祀る神社。



松尾 酒造りの神を祀る神社


松尾大社
酒造りの神を祀り、秦氏にもゆかりのある京都最古の神社。本殿裏手の「亀井の水」を酒に加えると酒が腐らないとの言い伝えから、醸造関係者の厚い信仰を集めています。庭園群は昭和を代表する庭園家・重森三玲を始めとする三代に渡るもの。
  • 住所:京都市西京区嵐山宮町3
  • TEL: 075-871-5016
  • アクセス:阪急嵐山線「松尾」駅、市バス28「松尾大社前」 


伏見の蔵元の銘柄が並ぶ酒樽の山。




文字がたくさん書かれたしゃもじ!
絵馬の代わりなのでしょうか?



取材当時は、初詣準備で境内にテントが設置され、神社の関係者の方々もあちらこちらと動き回って忙しそう。本殿へのご挨拶を済ませたら、庭園を一周してみましょう。

ここには、昭和の名庭とされる「松風苑三庭」があり、そのうちの磐座、曲水の庭は昭和を代表する作庭家、庭園史研究家である重森三玲の絶作です。

「曲水の庭」
平安貴族が、雅な遊びを楽しんだ庭を、現代風に表現。
当社は平安期に、東の「賀茂の厳神」に対して西の「松尾の猛霊」と呼ばれ、人々の信仰を集めていました。どこから眺めても見応えのあるお庭です。



松尾 曲水の庭


「上古の庭」
この松尾山の北大杉谷という渓谷の頂上近くには、社殿が作られる以前の古代から、当社の神を祀っていたと言われる巨大な岩石磐座(いわくら)があり、この庭は、その磐座を模しています。
庭の奥中央にある二つの巨石が、当社の祭神である男神と女神、周囲の多数の石群がそれに使える諸神達を表しています。そして一面の丹波笹が、高山の趣を演出しています。
他の庭園に比べてストイックな印象がある分、神秘的です。



松尾 上古の庭


「蓬莱の庭」
「蓬莱」とは、不老不死の仙界の事で、その思想は鎌倉時代に最も流行しました。
全体が、羽根を広げた鶴の姿をしているのだとか。



松尾 蓬莱の庭


三玲は、磐座、曲水の庭を設計指導した後に病に倒れ、息子の重森完途が引き継いで
曲水の庭と蓬莱の庭を完成、そして1997年に孫の重森千青が瑞翔殿庭園を作庭し、
三代に渡る庭園が完成しました。



「瑞翔殿庭園」



松尾大社 夜の特別拝観
普段は庭園内を歩いて巡る事ができますが、以前ここで有名な約3,000株もの山吹の花が咲く
4月の中旬頃に夜間拝観でお参りした時は、屋内からの拝観でした。
特にライトアップされた「蓬莱の庭」は、昼間とはガラっと表情を変えるので、一見の価値があります。



松尾大社 夜の特別拝観


夜間拝観期間中は山吹まつりもあわせてとり行われ、屋内で琴の演奏、お酒の試飲会(有料)等が楽しめます。
社内の廊下で酔いつぶれたおばさんが倒れていたのには、驚かされました。
さすがはお酒の神様…。
松尾大社は昼と夜の両方にお参りするのがおすすめです。



「曲水の庭」から宝物館へと進み、平安時代初期の作で重要文化財に指定されている男神像と
女神像、古文書や古祭器具を見学、せっかくなので、お薄をよばれながら「上古の庭」を眺める事にしました。



松尾大社 宝物館




お菓子は酒まんじゅう♪お酒の甘くて優しい、いい香りです。


再び外に出て山の手に向かうと、広いあじさい園が広がっていて小さなお社が。
この先に磐座があるようです。
磐座まで参拝したい人は、事前に社務所に問い合わせておきましょう(二名以上から)。




本殿裏手の辺りまで進むと、「霊亀の滝」が流れています。
大きな滝ではありませんが、静かな社叢の中に響く水の音は、
心の中の塵を払い落としてくれるかのような清々しさを与えてくれます。



松尾 霊亀の滝


「亀の井」
この水を酒に加えると腐らないとの言い伝えがあり、
醸造関係者の厚い信仰を集めているそうです。
試しに口に含んでみると、確かに口当たりがやわらかい気がしました。
「あ!ご神水を汲んで持ち帰りたいのに、容器が無い!」という人は、
庭園の入り口にて小さな瓶が売られているので、ご安心を。



松尾 亀の井


そして最後は、いよいよ「蓬莱の庭」へ。
東方の海上にあり、仙人が住むという想像上の仙境を、自分の足で歩いて疑似体験!?
池の畔に佇む石達は、大勢の人、あるいは仙人達を連想させ、
自分に何かを語りかけてくるかのように見えてきます。

  


そういえば、松尾山を含む約12万坪もの広い境内を夢中になって歩き進んでいくうちに、
自分がそれまで何を考えていたのか忘れてしまい、無心の状態に近づいていた事に気づきました。



そして、再び鳥居をくぐる頃には、またいつもの世界へと戻っていくのです。
次の機会には、磐座にも参拝してみたいと思いました。   おわり

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