大文字の送り火は、銀閣寺周辺の旧浄土寺村の人々で構成される大文字保存会によって行われています。
■点火の瞬間
大の字の2画目部分を「北の流れ」、3画目部分を「南の流れ」と呼んでいます。
75カ所の火床は、保存会の家ごとに担当が決められています。
当日19時になると、大の字中心部の火床「金尾(かなわ)」近くにある弘法大師堂に灯明が灯され、
浄土院住職や保存会員らによる般若心経などの読経 が行われます。
大文字の送り火を管理する浄土院は、天台宗から浄土宗に改められたお寺です。
しかしながら、お寺には真言宗開祖・弘法大師も送り火の本尊として祀られてい ます。
浄土宗の住職が古式通りの形で精霊を浄土に送るのは浄土宗としては異例な事ですが、旧浄土寺村の土着の
信仰を尊重してのことなのです。
その後、各火床の責任者は「護摩酢」と呼ばれる仏前の清めの酒をふるまわれ、灯明の火が親火へと移されます。
点火時刻の20時、「南の流れよいか」「北の流れ」よいか」「字頭よいか」「一文字よいか」というかけ声で、
竹に麦わらを巻き付け親火から火を移し た大松明をふりかざし、そのタイミングで一斉に点火されます。