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源義経の足跡を訪ねて~洛中編~

「判官贔屓」という言葉がある。 九郎判官・源義経は京都生まれ。
幼い頃父・義朝を亡くし、 母・常磐御前が平清盛の愛妾になることで生き延びる。
幼名を牛若丸といい、6歳の時、僧侶になるべく鞍馬山に預けられるが、
夜な夜な抜け出し、天狗に兵法修行を受けていたという。

後、奥州へ渡り、異母兄・頼朝の挙兵に応じて平氏追討の戦いに参加。
数々の戦功を立てる。 戦いには天才的な能力を発揮するが、政治能力はなく、
間もなく頼朝に疎まれ、逃れた奥州衣川で自刃した。

悲劇的な生涯を閉じた義経は京の人々にも人気があり、 
洛中にも鞍馬山にもゆかりの史跡が多く残されている。 
判官贔屓の民衆の義経に対する思いが込められた史跡を
洛中と鞍馬山に分けて巡ってみた。

 


おすすめコース ~洛中編~


クリックすると拡大地図になります。 
四条大宮バス停
  ↓(市バス46号約20分)
牛若バス停
  ↓(徒歩5分)
常徳寺
  ↓(徒歩5分)
光念寺
  ↓(徒歩5分)
牛若丸誕生井・胞衣塚
  ↓(徒歩3分)
源義経産湯遺址
  ↓(徒歩7分)
今宮神社
  ↓(徒歩1分)
一和・かざりや(あぶり餅)
  ↓(徒歩3分)
今宮神社バス停
  ↓(市バス46号系統10分)
千本今出川バス停
  ↓(徒歩7分)
首途八幡神社
  ↓(徒歩2分)
今出川浄福寺バス停
  ↓(市バス51号系統15分)
河原町三条バス停
  ↓(徒歩5分)
弁慶石
  ↓(徒歩10分)
京阪三条駅
  ↓(地下鉄東西線5分)
蹴上駅
  ↓(徒歩10分)
義経大日如来
  ↓(徒歩10分)
蹴上駅
  ↓(地下鉄東西線5分)
京阪三条駅
  ↓(京阪電鉄3分)
京阪五条駅
  ↓(徒歩3分)
牛若丸弁慶像
  ↓(徒歩5分)
松原橋
  ↓(徒歩20分)
六条堀川(義経居館跡)
  ↓(徒歩15分)
JR京都駅

常徳寺(じょうとくじ)

北区紫竹に牛若丸(源義経)が幼少期を過ごした 「牛若」という地名が残っている。
父・源義朝の別邸が紫竹にあったとされ、母・常磐御前はこの地で牛若丸を出産。
牛若丸と生母・常磐御前にまつわる史跡が点在している。

市バス46号系統「牛若」の名前に惹かれるように下車。
南東に向かって進み、北山通と牛若通が交差する角に常徳寺はある。
比較的新しいお堂の奥に常磐御前が牛若丸の安産を祈願して寄進したと伝えられる「常磐地蔵」が鎮座している。年月を経た木造がたたえる柔和な顔に母・常磐御前の優しさを
見たような気がした・・・。

お寺の方の話によると、この辺りの町内に祀られているお地蔵さんにも「常磐地蔵」と
名付けられているものがあるそう。折りしも今日は地蔵盆。お地蔵さんを囲んだ子供たちの歓声が響く。子供の輪の中心にあるお地蔵さんが「常磐地蔵」なのだろうか?

住所:北区紫竹東来栖町
TEL:075-491-6480
拝観時間:日中随時
拝観料:境内無料
牛若バス停。
この周辺に常磐御前
ゆかりの史跡が点在。
常徳寺。
この中に常磐地蔵が鎮座。

光念寺(こうねんじ)

付近の光念寺にも常磐御前の守り本尊「腹帯地蔵」が 祀られているそうだ。

残念ながら今回は住職がご不在で拝観はできなかったが、
この地区一帯の人々の常磐御前や牛若丸への深い愛着が感じられる。

住所:北区紫野上野町
TEL:075-491-0310
拝観時間:日中随時
拝観料:境内無料

腹帯地蔵が鎮座する光念寺

牛若丸誕生の井戸(うしわかまるたんじょうのいど)

紫竹のあたりには義経の父・源義朝の別邸があり、常磐御前はこの地で牛若丸(義経)を産んだと言われている。その時産湯に使ったと言われる井戸が近くにあった。

「牛若丸誕生井」と刻まれた大きな石碑が、畑の中に立っており、その裏側に小さな井戸があった。同じ敷地内には「胞衣塚」と言われる小塚があり、ここに牛若丸のへその緒と胞衣が埋められたという。

面白いことに、ここから東南に5分ほど歩いたところにも「源義経産湯井ノ遺址」と掘られた石碑がある。石碑には「この付近に源義朝の別邸があり、ここが牛若丸誕生の地である」旨が記されていた。

近衛天皇の中宮の雑仕女だった常磐御前だが、源氏の棟梁・義朝に愛され、今若・乙若・牛若の三兄弟を義朝の別邸のあった紫竹の地で産んだ。
後に三兄弟の命と引き替えに平清盛の寵を得、後に藤原長成に嫁したという。
我が身を犠牲にしても子供の命を守った母の愛を感じる。
常磐御前の愛に包まれて、この地に育った牛若丸を偲びながら「牛若」の地を歩いてみよう。

住所:北区牛若町一帯
見学随時
左:畑の中に立つ牛若丸誕生の井戸
右:へその緒を埋めたと言われる胞衣塚

近くにもう1つ井戸跡が
こちらは誕生の由来が書いてある

今宮神社・あぶり餅(いまみやじんじゃ・あぶりもち)

牛若丸とは直接関係ないが、近くに鎮座する今宮神社を参拝した。

京都三大奇祭の一つ「やすらいまつり」は4月の第2日曜日・今宮神社で行われる。
鬼が鉦や太鼓を打ちならし、近所を練り歩く。
赤と白の「やすらい人形」が境内で売られていた(\300-)
これに名前を書き込んで納めれば、健康に恵まれるという。

今宮神社の門前に「一和」「かざり屋」という2軒のあぶり餅屋があり、
店員さんが客引き合戦を繰り広げている。どちらもお茶付きで1人前15本で500円。
味噌と砂糖、醤油の味ともちもちした口当たりが絶品。3人前からお持ち帰りもできる。

<かざりや>
住所:北区紫野今宮町
TEL:075-491-9402
営業時間:10:00~17:00
定休日:水曜・祝日

今宮神社のやすらい人形

名物・あぶり餅

首途八幡宮(よしつねかどではちまんぐう)

今宮神社前から市バス46号系統に乗り、千本今出川バス停下車。
西に7分ほど歩くと今出川智恵光院。ここに「首途八幡宮」(かどではちまんぐう)という小社がある。
ここは義経を奥州に導いた金売吉次の邸宅があったところ。
首途(かどで)という名の由来は義経が奥州出発に際し、ここで道中の無事を祈願したところから来ている。現在でも義経にあやかって旅行の安全を願う参詣者が多いという。

余談だが、右京区妙心寺近くの木辻通にある願王寺にも「義経かどで地蔵尊」が祀られている。木辻(きつじ)が金売吉次の「きちじ」の音に似ていることからこの地にも吉次の別邸があったと言われ、牛若丸が奥州への門出に際し、吉次の念持仏に旅の安全を願ったという。
このように義経に関する似たような伝説は京の随所にちりばめられている。
それだけ義経の人気が伺えよう。

住所:上京区今出川智恵光院上ル
電話:075-431-0977
拝観料:境内自由

義経門出祈願の地・首途八幡宮

木辻通にもかどで地蔵尊がある

弁慶石(べんけいいし)

今出川浄福寺バス停より市バス51号系統に乗り、三条河原町下車。三条通を西に5分。

三条麩屋町東のビルの前に、「弁慶石」と呼ばれる巨石がある。
牛若丸を助けた弁慶が常に腰掛けていた石だとも、比叡山から弁慶が投げた石とも、
はたまた衣川の戦いに立ち往生した弁慶がこの石になったとも、
不思議な伝説に彩られた石である。
元は鞍馬口にあったものが洪水によってこの地に流れ着いたそうだ。

住所:三条麩屋町東入ル
見学:随時

ビルの前にそびえる弁慶石

義経大日如来(よしつねだいにちにょらい)

三条大橋を渡り京阪三条駅から地下鉄東西線で蹴上駅下車。
奥州へ向かう途中、義経は蹴上の地で9人の平家武者を殺した(武者の馬が蹴上た泥水がかかったので怒って殺したので蹴上という地名になったという説あり)。
その菩提を弔うために9体の地蔵を祀ったというのだが、そのうちの一体が蹴上のインクラインを上がったところにある「義経大日如来」だ。
ひっそりとただずむ穏やかな表情をした石仏を見落とさないしよう。

住所:東山区蹴上インクライン疎水公園内
見学:随時
蹴上の義経大日如来

牛若丸弁慶像(うしわかまるべんけいぞう)

地下鉄で京阪三条駅に戻り、五条駅へ。
牛若丸と弁慶が決闘した五条大橋を渡ると、小さな石造りの牛若丸と弁慶像が見えてくる。
想像したより小さく、つるんとした印象の御所人形風の石像だ。
牛若丸はここ五条大橋の欄干の上で弁慶の攻撃をひらりひらりと交わしていたのか?

実は当時の五条大橋はここではなく、一筋北にかかっている松原橋だったのだ。
今は車が激しく行き交う近代的な松原橋で二人の決闘の様子を思い浮かべてみよう。

住所:東山区五条大橋西側
見学:随時
牛若丸弁慶像

六条堀川源氏館跡(ろくじょうほりかわげんじやかたあと)

五条通を東へ。
堀川通に突き当たり、少し南に行くと、
植え込みの中に「左女牛井之跡」という石碑と説明板が出ている。
左女牛井は京の名水として平安時代から有名で六条堀川にあった
源氏の館の庭の中に取り入れられていたという。

源頼義以下、為朝、義朝と源氏は代々この館に暮らしていたが、
平治の乱で平家の手によって焼かれており、義経が入洛の際に再建したそうだ。
館再建後、義経もここ六条堀川の館に暮らし、左女牛井の名水を飲んでいたことだろう。

今は車の行き交う都会の一角で、義経が再建した館を想像してみよう。

住所:下京区六条堀川西側
見学:随時
左女牛井は源氏館の
庭の中にあった


※このページの掲載情報は、取材時のものであり、現在のもの、歴史上の事実とは異なる場合がございますので、ご了承下さい。参考としてご覧頂きますようお願い申し上げます。

一言コラム

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