絶世の美女・小野小町をめぐる旅は地下鉄東西線小野駅からスタート。 古来、小野の地は小野一族が住み、小町の邸宅も随心院の辺りにあったとされる。 駅から東へ徒歩5分。駐車場を抜けた所に、「史跡 小町御苑」という石碑が。 少し入ると萱葺の屋根の下に年代ものの直径1mほどの木の幹が横たわっている。 説明板によると、深草少将の百夜通いの折に小野小町が日数を榧(かや)の実で数えていた。 ところが、九十九個目の榧の実を手にしたまま、少将は死んでしまった。 小町は後に供養のため、榧の実を小野の里に蒔いたという。 この幹が成長した榧の木の三代目だというが・・・。 次に小町が恋文を埋めたという文塚へ向かう。 本堂裏の竹やぶの中にある五つの球体を重ねたユニークな形の石塔が文塚。 深草少将をはじめ、多くの貴公子からの千通の恋文が埋めてあるという。 積み重なって倒れそうな石の玉がうず高く積まれた恋文を彷彿させて面白い。 梅園を横手に見ながら、いよいよ随心院の中へ。 遅咲きのはねず梅は3月半ばの取材時にはまだ咲き始めだった。 途中絵馬堂には「小野小町のように美しくなれますように」などと乙女の願いが書き記された絵馬が沢山奉納されていた。受付にはあぶら取り紙(¥300-)、レターセット(¥550-)など、沢山の小町グッズが売られていて目移りしてしまう。私は梅の柄で扉に小野小町の絵と和歌が書いてある御朱印帳(¥700-)をget。小町グッズはホームページでも販売されているので興味のある方はどうぞ。本堂には小町に寄せられた恋文を下貼りにして作られたという「小町文張地蔵尊」と小町の晩年の姿を写したという「卒塔婆小町像」が安置されている。 卒塔婆小町は今回のコースでも小町寺と退耕庵でも見られたが、最もふくよかで、「いけずなおばちゃん風」の像である。文張地蔵は何の変哲もないお地蔵さんに見えたが、本当に恋文が貼ってあるとしたら文塚の恋文と合わせたらいったい何通になるのかな? と考え込んでしまった。 書院には三十六歌仙の小野小町画像があった。 考えてみれば、今回のツアーの唯一の美しい小町像だった。 これから老衰小町像ばかり見ることになるので目の保養をしておこう。 隣には少将来訪の日を数えたという糸を通す穴のあいた榧の実が残っていた。 再び境内に出て百人一首の「花の色は・・・」の歌碑を見学。後ろ向きの小町像が印象的。 出口附近にある「小町化粧井戸」の辺りに丁度小町の邸宅があったそうだ。 石組みで囲まれた深い井戸には今なお澄んだ水が湛えられている。 江戸時代の『都名所図会』にも小町が朝夕化粧をこらした井戸として紹介されている。 門を出てすぐの天田川にかかる橋は、化粧の井戸から流れる化粧水にちなんで 化粧橋といわれている。 毎年3月の最終日曜日には、小野小町と深草少将に扮した少女達が舞う「はねず踊り」が行われる。遅咲きのはねず梅の見頃と重なる優美な祭。是非一度見学してみたい。 →小町ゆかりの遺跡や仏像も見られる随心院さんのホームページはこちら →今 年のはねず踊りレポートはこちら 住所:山科区小野御霊町 拝観時間:9:00~16:30 拝観料:300円 |
小町が恋文を埋めた文塚 |
小町化粧井戸には今でも水が |
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卒塔婆小町像(向かって左) 小町文張り地蔵(右) |
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小町に扮した少女が舞う はねず踊りは3月25日開催。 |